2022年12月7日(水)に実施いたしましたオンラインシンポジウム「『Beyond COVID-19 toward 2030』ひがし北海道SUSTAINABLESustainableによる地域観光体制を考えるシンポジウム」内の(一社)ひがし北海道自然美への道DMO・専務理事・野竹鉄蔵による講演「ひがし北海道における各地域のサスティナブルとDMO」の内容を記事化したものです。
阿寒摩周国立公園満喫プロジェクト
■日本の国立公園内では初開催となるナイトウォーク〜KAMUY LUMINAと川湯の森ナイトミュージアム
阿寒湖で開催される「KAMUY LUMINA」は、アイヌのユーカラ(叙事詩)をベースに、夜の森を舞台としてアイヌ文化を体感できるアクティビティにデ ジタルアート技術を採用し開発したものです。川湯の森ナイトミュージアムは川湯温泉街で開催され、樹木のライトアップと音声ガイドで自然の森を学ぶことができるイベントです。どちらも新型コロナウイルス感染症の影響で中止した年もありましたが、令和4年より再開されております。

(写真:KAMUY LUMINA)
この存在評価としては、日本初の国立公園内におけるナイトウオークを実現し、自然と共生しているアイヌ文化の象徴的なストーリーをシナリオ化して演出していることにあります。
この存在評価としては、日本初の国立公園内におけるナイトウオークを実現し、自然と共生しているアイヌ文化の象徴的なストーリーをシナリオ化して演出していることにあります。
■温泉川の蒸気浴ウォーク
川湯温泉街のホテル間を縫うように流れる「温泉の川」、この川沿いを歩くおよそ110mの遊歩道が整備されました。全身に強酸性温泉の蒸気を浴びながら、四季折々の景色を愛でたり、レンタルした長靴で温かい川の中を歩いたり、川湯温泉ならではの蒸気浴ウォークで硫黄泉を体験することができます。

(写真:川湯温泉街)
「温泉の川」そのもの清掃活動が最大のポイントで、それにより、温泉川を体感浴として、足湯&ウオークの不思議な空間として創出されただけでなく、冬のナイトウオークでは天然の霧氷ゾーンとして足で感じるだけでなく、熱と水の7変化により霧氷のアイスアートが完成したこと、これは阿寒湖でも体感できないここだけのサステナブルな体験です。
「温泉の川」そのもの清掃活動が最大のポイントで、それにより、温泉川を体感浴として、足湯&ウオークの不思議な空間として創出されただけでなく、冬のナイトウオークでは天然の霧氷ゾーンとして足で感じるだけでなく、熱と水の7変化により霧氷のアイスアートが完成したこと、これは阿寒湖でも体感できないここだけのサステナブルな体験です。
3つの国立公園とまちを繋ぐロングトレイルルートの検討・整備
釧路湿原国立公園と阿寒摩周国立公園、知床国立公園を結ぶ370kmのロングトレイルルート(長距離自然歩道)を検討しています。令和4年度までに想定ルートの全線調査や勉強会・交流会などが行われています。令和6年夏の全線開通に向け、トレイル全線の運営体制整備や道標整備、プロモーションもはじまります。広大な湿地帯が広がり、酪農風景が楽しめる釧路湿原国立公園、3つのカルデラ湖と畑作地帯の阿寒摩周国立公園、手つかずの大自然とそこに棲む野生生物が魅力の知床国立公園。それぞれに特色のある3つの公立公園を結ぶロングトレイルルートができることにより、該当地域のさまざまな観光の仕方やステイの仕方が変わってくると想定されています。

(写真:900草原)
阿寒摩周国立公園ゼロカーボンパーク
環境省の取り組みとして、国立公園において先行して脱炭素化に取り組むエリアを「ゼロカーボンパーク」として登録・推進しています。阿寒摩周国立公園は全国第4号として登録されました。現地での取り組みとしては、E-bikeなどの利用も含めたゼロカーボンの移動などを促進するトレイルネットワーク×ゼロカーボン観光、阿寒湖温泉などの温泉熱利用設備導入による省エネ推進、おいしい水道水の給水スポットを設けるなどする地元のおいしい水PRでペットボトルごみ削減などを進めています。

(写真:阿寒湖温泉街)
釧路湿原国立公園ゼロカーボンパーク
釧路市は令和3年にゼロカーボンシティを表明、令和4年にはゼロカーボンパークに登録されました。現地での取り組みとしては、CO2の吸収源としての湿原及び森林の保全・再生の推進、ペットボトルなどのリサイクルを通じた脱炭素社会の推進、収益の一部を環境保全に活用するなどのサステナブルな観光地の推進、COOL CHOICEを旗印とした取組の普及啓発などを進めています。釧路湿原はカヌーやウォーキングなど30種類もの関わりの方法があります。ゼロカーボンパークの推進と組み合わさることにより、新しい観光のスタイルが誕生していくのではないかと思います。

(写真:釧路湿原)
オホーツク流氷トラスト運動
流氷が運んでくる植物プランクトンはオホーツクの豊かな海をつくり、さらに流氷自体がオホーツクエリアの冬の観光資源となっています。つまり、流氷はオホーツクの産業の一部も作り出していると言っても過言ではありません。地球温暖化が叫ばれる昨今、このオホーツク流氷トラスト運動は流氷をいつまでも守り続けるための環境保全活動です。
この運動の取り組みとしては、バスやタクシー・JRを利用して観光や買い物をする公共交通機関の利用促進キャンペーン、廃蛍光灯リサイクルガラスを原料にした各種ガラス製品の販売、流氷を通じたサステナブルツアーの誘客促進などを行っています。
最初はオホーツク流氷館や流氷硝子館などで流氷を知り、次に冬期に流氷クルーズで体験、さらに流氷ファットバイクや流氷カヤックなどで流氷に触れたり、流氷のなかで過ごしたりして、よりディープなサスティナブルツアーへと導く、そのような展開への取り組みも行われています。
この運動の取り組みとしては、バスやタクシー・JRを利用して観光や買い物をする公共交通機関の利用促進キャンペーン、廃蛍光灯リサイクルガラスを原料にした各種ガラス製品の販売、流氷を通じたサステナブルツアーの誘客促進などを行っています。
最初はオホーツク流氷館や流氷硝子館などで流氷を知り、次に冬期に流氷クルーズで体験、さらに流氷ファットバイクや流氷カヤックなどで流氷に触れたり、流氷のなかで過ごしたりして、よりディープなサスティナブルツアーへと導く、そのような展開への取り組みも行われています。

(写真:オホーツク海の流氷)
(一社)ひがし北海道自然美への道DMOによる昨秋の国内web調査でも、40%以上の方が流氷を守ろう=流氷ゼロカーボンにはとても興味があると回答をいただいております。一番人気の網走・流氷クルーズによる認識を武器に、ゼロカーボン/流氷を守りたい/その思いを来訪&ムーブメンントへとつなげられたら、ひがし北海道観光は全体的にサステナブルに進むことになると考えています。
(一社)ひがし北海道自然美への道DMOによる昨秋の国内web調査でも、40%以上の方が流氷を守ろう=流氷ゼロカーボンにはとても興味があると回答をいただいております。一番人気の網走・流氷クルーズによる認識を武器に、ゼロカーボン/流氷を守りたい/その思いを来訪&ムーブメンントへとつなげられたら、ひがし北海道観光は全体的にサステナブルに進むことになると考えています。
町や村としてのサステナブルな観光への展開
■鶴居村
鶴居村での取り組みとしては、農泊・農業と連動した観光としての宿泊・長期ステイ、タンチョウが生息する釧路湿原、そしてジビエと連動した形でのガストロノミーなどがあります。コロナ禍においても、さまざまな観光コンテンツを開発し続けて観光客も増加しました。2022地域づくり観光庁長官賞も受賞しています。

(写真:鶴居村)
■鹿追町
鹿追町では令和3年に「鹿追型ゼロカーボンシティ」への挑戦を宣言しました。その取り組みのひとつとして、然別湖の新しい交通受入体制を整備しました。2022年には冬期に開催されるイベント「しかりべつ湖コタン」開催時に会場への移動で路線バスを利用した人にイベントやホテルなどで使えるお得なクーポンを配布しました。

(写真:しかりべつ湖コタン)
■斜里町
斜里町では、知床五湖とカムイワッカ湯の滝へは交通規制をしていますが、令和4年秋にはさらに知床自然センターから知床五湖の移動はシャトルバスのみという交通規制を行いました。カムイワッカ湯の滝の奥に行けたり、シャトルバスにネイチャーガイドが同乗したり、バスツアーを開催したりと、単なる交通規制ではなくポジティブに捉えることのできる取り組みが行われました。

(写真:知床五湖)
最後に、ひがし北海道サステナブル〜どこにでもある風景
網走市中心部の南側を車で走ると「感動の径」という看板を目にします。「その日のあなたにとっての感動風景=そこが感動の径」であり、「どの道が、というわけではなく、面である」というのがコンセプトです。北海道らしい丘が続くエリアで、周囲は農作物によってさまざまな色になるカラフルな場所でもあります。

(写真:感動の径)
命名されたのは平成5(1993)年で、徐々に有名になっていくのですが、それに伴い周囲は畑作地帯であることから、レンタカー客の畑への侵入などオーバーツーリズム問題が出てきました。平成14(2002)年に網走市長農業振興部による「農村の彩り香りワンランクアップ事業」がはじまります。数々のワークショップを実施するなかで、ビジター(観光客)とホスト(現地住民)とは考え方、捉え方は違うにしても、話し合いを繰り返すことにより、課題解決の方向に進みました。そして、今や「感動の径」は網走のひとつの観光地として定着しています。 ビジター来られる方が大事にしてるもの、見たいものと、ホストにとって大事にしてるもの、見たいものは違いますで、放っておくと必ずバッティングすることになります。「感動の径」はビジターにとっては美しい風景なのかもしれませんが、ホストにしてみれば日常の当たり前でしかありません。しかし、ビジターとホストが意見交換する中でお互い共有化できることや考えてもいなかったような気づきがある、そしてそれが双方の感動になり、やがて観光という形になっていくのではないかと考えています。観光は観光素材(風景、食など)だけではもちろん成り立たない、ビジターのみでも成立しない、必ずホストの役割も必要で、さらに接点を持つことが重要かつ不可欠です。
命名されたのは平成5(1993)年で、徐々に有名になっていくのですが、それに伴い周囲は畑作地帯であることから、レンタカー客の畑への侵入などオーバーツーリズム問題が出てきました。平成14(2002)年に網走市長農業振興部による「農村の彩り香りワンランクアップ事業」がはじまります。数々のワークショップを実施するなかで、ビジター(観光客)とホスト(現地住民)とは考え方、捉え方は違うにしても、話し合いを繰り返すことにより、課題解決の方向に進みました。そして、今や「感動の径」は網走のひとつの観光地として定着しています。 ビジター来られる方が大事にしてるもの、見たいものと、ホストにとって大事にしてるもの、見たいものは違いますで、放っておくと必ずバッティングすることになります。「感動の径」はビジターにとっては美しい風景なのかもしれませんが、ホストにしてみれば日常の当たり前でしかありません。しかし、ビジターとホストが意見交換する中でお互い共有化できることや考えてもいなかったような気づきがある、そしてそれが双方の感動になり、やがて観光という形になっていくのではないかと考えています。観光は観光素材(風景、食など)だけではもちろん成り立たない、ビジターのみでも成立しない、必ずホストの役割も必要で、さらに接点を持つことが重要かつ不可欠です。

(写真:感動の径にある看板)
最後にまとめとして…
2回の記事で、ひがし北海道の「サステナブル(持続可能)な観光」について紹介してきました。まだまだ紹介しきれない事例がありますので、このWebサイトで随時紹介していきます。