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陸上の真っ赤なサンゴ 9月が見ごろのアッケシソウの紅葉

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更新日:2023年6月9日
秋になると、一風変わった紅葉の景色が一部地域で見られるようになります。それはアッケシソウが大地を真っ赤に染める光景。緑色のアッケシソウが8月下旬頃から次第に赤くなり、見ごろの9月中旬にもなると真紅のじゅうたんを敷いたような絶景が現れます。ひがし北海道を代表する鮮やかな花風景です。
牡蠣の名産地、ひがし北海道の厚岸(あっけし)町と同じ名前をもつ植物、アッケシソウ。1891(明治24)年、厚岸町にある厚岸湖内の牡蠣島で最初に発見されたことからその名がついたといいます。(牡蠣島は水没してしまい現存しません。) 草丈10~30cmほどの塩性植物(海岸や塩分の多い湿った土地に生息する植物のこと)で、国内での生息数や分布、群生地がごく限られており、環境省の絶滅危惧II類に指定されています。そんな希少なアッケシソウの群生が、オホーツクのサロマ湖や能取湖、根室の温根沼、風蓮湖、別海の野付半島など、ひがし北海道の一部の地域で確認・保護されているのです。
アッケシソウは葉も花も極めて目立たず、ぷっくりとした茎だけのようなユニークな見た目をしています。その茎が夏から秋にかけて紅葉するのですが、赤く紅葉した姿がサンゴに似ていることからサンゴソウという別名も持っています。 今回はアッケシソウを観賞できるスポットをご紹介。おすすめの時季は、紅葉し、真っ赤な姿が見られる9月の中ごろ。全国的に珍しい紅葉風景は必見です。

能取湖サンゴ草群落地【網走】

網走市にある能取湖は日本最大規模のアッケシソウの群生地として知られています。群生地の入口には「日本一サンゴ草群落地」の看板が立ち、見ごろのピークとなる9月中旬には毎年多くの人が赤く染まった大地を見に訪れます。
群落の中へ入っていくことはできませんが、木製遊歩道が設置されているので、そこを歩けばアッケシソウの赤いじゅうたんの上に立ったような気分を味わうことができます。晴れた日の青空と真っ赤なアッケシソウのコントラスト、それに、アッケシソウの群落にところどころ混ざる水面に映る青空はことさら美しく、見る者を圧倒します。
例年9月中旬には「能取湖さんご草まつり」が開催されていて、絶景とともにさまざまな催しが楽しまれています。
詳細はWebサイトで!

能取湖サンゴ草群落地

住所:網走市卯原内60−3
期間:8月中旬~10月中旬
料金:無料
駐車場:あり
アクセス:網走駅から常呂・サロマ湖栄浦線バスで約20分

サロマ湖畔には群生地が点在

北見市・佐呂間町・湧別町にまたがる日本最大の汽水湖・サロマ湖。ホタテや牡蠣の養殖や、北海道屈指の夕日スポットとして有名ですが原生植物の宝庫としても忘れてはいけない湖で、そんなサロマ湖の周辺にはアッケシソウが見られるスポットがいくつかあります。

サロマ湖ワッカ原生花園【北見】

北東岸の砂州上にあり、野鳥の繁殖地でもあるサロマ湖ワッカ原生花園では、多様な生態系の中、春から秋にかけて300種類以上の草花が咲き誇ります。アッケシソウはワッカ原生花園の秋を彩る名物。サロマ湖ワッカネイチャーセンターから徒歩10分ほどのところに群生地があり、木道が整備されているので間近で眺めることができます。

住所:北見市常呂町栄浦
期間:4月29日〜スポーツの日(10月)
料金:無料
駐車場:あり
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キムアネップ岬【佐呂間】

湖の東南岸にテラスのように突き出すキムアネップ岬に群生するアッケシソウはやや小規模なものの、紅葉すれば真っ赤なじゅうたんを広げ魅せてくれます。 キムアネップ岬は湖へと沈む夕日を眺めることができる絶景のポイント。夕日によってより深く赤みを増したアッケシソウは一見の価値ありです。

住所:佐呂間町幌岩
料金:無料
駐車場:あり
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鶴沼原生花園【湧別】

湖の西側、サンゴ岬にある鶴沼原生花園。岬の名の通りに珊瑚草(=アッケシソウ)が群生しています。北海道指定天然記念物に指定されながらも、大々的に観光案内などをされることが少ないため知る人ぞ知るスポットです。
真っ赤なアッケシソウとその奥に佇むサロマ湖のブルーはお互いの色の美しさを一層引き立て合うかのよう。静かな雰囲気のなか、ここだけの景色を楽しむことができます。

住所:湧別町東
料金:無料
駐車場:あり
アクセス:オホーツク紋別空港から車で約30分
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サロマ湖

アクセス:女満別空港、オホーツク紋別空港から車で約1時間

野付半島原生花園【別海】

日本最大の砂の半島・野付半島。トドワラやナラワラなどの奇景が有名ですが、6月頃から秋にかけて咲く可憐な花々も大きな見どころのひとつです。
野付半島は全体が原生花園。なかでも野付半島ネイチャーセンターからトドワラへ続く遊歩道沿い、それと、半島東端にある野付埼灯台周辺に広がる野付半島原生花園が花を鑑賞しやすいポイントです。
夏の間はあまり目立たないアッケシソウは秋になり、紅葉しながら徐々に存在感を放ちます。モノクロの冬がやってくる最後の最後まで、半島に彩を添えるのは紅葉したアッケシソウ。満潮時に海水に沈む様子もまた神秘的です。
野付半島原生花園では散策はできません。花畑には入り込まず、駐車場から眺めて楽しみましょう。

野付半島原生花園

住所:別海町野付
料金:無料
アクセス:野付半島ネイチャーセンターから徒歩約45分、車で約13分

アッケシソウの紅葉をいつまでも

かつては宮城県や瀬戸内海沿岸の地域でも見られたアッケシソウですが、絶滅により現在本州で自生しているのは岡山県のみだそう。育つ環境が限られていて、だけれどその環境は波浪や流氷、地盤沈下などの影響で変化が起こりやすく、群落は衰退の危機とつねに隣り合わせです。
いま、アッケシソウの見事な紅葉風景を見ることがかなうのは、絶滅危惧種ゆえに保護されてきたことに加えアッケシソウを愛でる地域の人たちが現在進行形で保護増殖の取り組みを行っているからこそ。
鑑賞者である私たちは散策路から見る、採取しないなどのルールを守り(踏み荒らすなんてもってのほか)、アッケシソウのある景色がこの先も続くよう見守る気持ちを持つことが大切です。
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