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知床半島のひがし側 羅臼へ冬旅

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更新日:2023年12月8日
流氷が押し寄せる厳寒の世界自然遺産・知床。ひと口に「知床」といっても、半島を背骨のように連なる知床連山を挟んだ東側と西側で2つの町に分かれ、そこでは流氷の質も異なります。季節は冬、知床半島の東側・知床羅臼にクローズアップしてみます。
知床連山で二分される知床半島、その西側、オホーツク海に面しているのは斜里町です。知床の人気観光地である知床五湖やオシンコシンの滝、ウトロ温泉などがあり、世界遺産の大スケールの自然を堪能しに季節を問わず多くの観光客が訪れています。 対する東側、根室海峡に面しているのが羅臼町です。ここでは真冬、流氷がきているときにも漁を行うことができ、日本有数の漁獲量を誇るので「魚の城下町」と呼ばれています。海産物の品質は群を抜いて高く、「羅臼ブランド」には一級品が多いことも特徴です。
町から望む海の向こう岸には北方領土の国後島。島との距離は最短のところで25kmほどと、「近くて遠い」存在をひしひしと感じる町でもあります。

羅臼の流氷、羅臼の美味

流氷がやってくる世界最南端の知床羅臼で流氷が見られるのは2月上旬~3月上旬頃。ロシアのアムール川の河口付近で誕生した流氷が季節風や海流に乗り、徐々に成長しながら北海道へとやってきます。
羅臼へやってくる流氷は知床半島を回り込んで到達するため、氷の密度が低いという特徴があります。それゆえに海に浮かぶ流氷の合間をクルーザーで縫うように走る流氷クルーズが面白いのです。
同じひがし北海道の網走や紋別では流氷クルーズに砕氷船が航行していますが、羅臼では主にそれより小さなクルーザーを使うためごく近い距離で流氷観光を楽しむことができます。 越冬のためロシアから飛来するオジロワシやオオワシに高い確率で遭遇でき、氷の上に寝そべるアザラシの姿が見られることも。颯爽と進む船上で、羅臼でしか見られない流氷上のワンシーンを切り取りに世界中からプロのカメラマンも多く訪れ、乗船するそうです。
一方で、斜里町のウトロ海岸ではシベリアから流れてきた流氷が知床半島にせき止められることで氷の密度が高くなり、一面の流氷原が出現します。この流氷原で流氷と直に触れ合うアクティビティが人気を集めています。
このように、流氷はウトロ側では一部せき止められますが、羅臼側では止まることなく流れています。そのため羅臼では流氷がもたらす栄養分の恩恵をうけた豊かな水産資源を漁獲することが厳冬期を含む年中で可能となります。
冬はウニや鱈、夏はボタンエビやブドウエビ、秋は鮭やホッケそれにイカなど、羅臼では一年を通して実に50種類以上もの多様な魚が獲れています。
羅臼の海産物を語るうえで欠かせないのは「羅臼昆布」。
知床の海には知床連山から30を超える本数の川が流れ込み、原始の森からミネラル豊富な水が運ばれてきています。加えて流氷が運ぶ豊富なプランクトン、沖合に湧く海洋深層水など、羅臼には昆布が育つ最高の環境が整っています。
素材の良さだけではありません。昆布を海から採取し、製品となり出荷されるまでの約100日の間にはふむ行程がなんと23も。昆布のうま味を引き出すため丁寧な作業を繰り返し、手間と時間をかけられた羅臼昆布は国産昆布の約90%が北海道産であるうちの1~2%というとても貴重な昆布です。味、香り、きれいに成形された見た目、どの要素にも光る職人技を感じる極上品です。
最高の環境で育つ羅臼の昆布を食べて育った羅臼のウニが「日本一贅沢なウニ」と言われることにも納得がいく気がしますね。そんな羅臼のウニが食べられるのは1月末から6月中旬頃。冬に羅臼を訪れて、絶対に味わいたい味覚のひとつです。

最旬の羅臼の味に出会える季節限定のお店へ

羅臼まで行ったのなら、魚介自慢の飲食店へ訪れましょう。町内には極上の羅臼産素材を味わうことができるお店が点在していて、海岸線沿いの国道335号の沿道には知床羅臼 濱田商店があります。
知床羅臼 濱田商店は2~9月に季節限定で営業するお店。羅臼で水揚げされた魚介を中心に海鮮料理を提供する食堂と、店内奥の工場で加工した商品を販売する売店が一体となっていて、営業期間中は羅臼の漁港から仕入れた旬の味覚をランチで楽しむことができます。
食堂では定番人気のいくら丼やカニ、脂ののったホッケの定食がいただけますが、おすすめは漁期によって変わる“季節限定メニュー”です。
羅臼産バフンウニのウニ丼が食べられるのは冬~初夏、時しらずを焼き魚とお刺身で堪能できる時鮭定食が始るのは6月から、7月になるとぼたん海老やブドウエビが提供されるように。(提供時期は前後する場合があります。)
“その日の美味しいもの”がたっぷりと盛り付けられる日替わりの海鮮丼はお値段3000円から。訪れたそのときの旬の魚介がひと目でわかり、さながら羅臼の旬を縮図にしたような一品です。
▼2月下旬に訪れたときの日替海鮮丼
あまり聞き馴染みのない“ブドウエビ”は、羅臼の特産品のひとつでその希少性の高さから「幻のエビ」といわれています。(ブドウエビの名前の由来は葡萄と同じ色をしていたことからだそう。)ボタンエビの上をいくとも評される濃厚な甘味は知床羅臼唯一無二の味わいです。
▼知床羅臼 濱田商店で提供されるブドウエビのお刺身
羅臼の美味はぜひお土産でも持ち帰りましょう。お店奥の加工場で一夜干にし、旨味を閉じ込めた魚のその身は焼くとふっくらとした食感で絶品です。生け簀で泳いでいるカニは自分の目で見て選んだら、その場で茹で上げ!購入商品は全国へ発送してもらえます。

知床羅臼 濱田商店

住所:羅臼町礼文町365-1
電話:0153-87-3311
営業時間:2〜9月
【食堂】10:30~15:00(L.O.14:30)
【売店】10:30~16:00
定休日:営業期間中不定休(電話にてご確認ください)、10〜1月
駐車場:あり

冬に知床羅臼へ行くには?

北海道のどこから向かうにしても、楽にアクセスできるとは言い難い知床羅臼。訪れるときは車か公共交通機関を使用して行きます。
車の場合、中標津空港か女満別空港に降りてそこでレンタカーを借ります。所要時間は中標津空港からは約1時間15分、女満別空港からは約2時間40分です。ただし冬道ドライブとなりますので所要時間はもう少し多めに、ドライブ計画も時間に余裕をみておいたほうが無難です。
公共交通機関では、JRが羅臼には乗り入れていないため、釧路駅を停留所に含む阿寒バスの定期路線バスがもっとも利用しやすいでしょう。釧路空港に降りてJR釧路駅へ移動した後バスに乗車、中標津・標津を通って羅臼へと、約3時間40分ほどのバス旅です。
この定期路線バス「釧路羅臼線・釧路標津線」は生活交通路線につき土・日曜、祝日は減便していることと、道路状況や天候によっては運行状況が変更となる可能性があることを念頭に置いておきましょう。
冬のひがし北海道の観光に活躍している冬期間のみ運行するツアーバス「ひがし北海道エクスプレスバス」でも、ウトロへ行くことはできますが羅臼へ行くことはできません。どうしても訪れるのにハードルが高く感じてしまわれがちな羅臼ですが、訪れればそこには世界最南端の流氷が魅せる壮大な景色それに格別な美味が待っています。
はるばる来た甲斐をきっと感じられる特別な場所、流氷のある知床羅臼へぜひ足を運んでみてください。
詳細はWebサイトで!
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2023年12月
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