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目指すはひがしの最果て 「花咲線」に乗って絶景列車旅

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更新日:2023年5月12日
移動手段としてではなく、旅の目的として乗りたい列車があります。ひがし北海道の愛すべきローカル線「花咲線」はまさしくそれではないでしょうか。ダイナミックな大自然の中に敷かれたレールに乗って、日本の東の果てを目指す絶景列車旅へと出かけてみましょう。
北海道一長い鉄道路線「JR根室本線(滝川-根室)」のうち、釧路と根室を結ぶ135.4kmの区間が「花咲線」の愛称で呼ばれています。この区間には森林、湿原、海岸線があり、多彩な変化に富む鉄路。原野の中を1両編成の列車が進んでいくさまは「ローカル線」を絵に描いたようです。
花咲線は雄大な景色の中をときに野生動物と遭遇したりもしながら走ります。

釧路から根室へ

東の最果てを目指す約2時間30分の鉄道旅は釧路駅から始まります。釧路駅を出発後、住宅街を抜け景色はいつしか緑いっぱいの森へと変化。やがて牡蠣の名産地として名高い厚岸(あっけし)が近づくと車窓に太平洋が見えてきます。
花咲線では、美しい車窓区間で列車が速度を落として走行することがあり、そのときは車窓に流れる絶景をゆっくりと堪能することができます。門静(もんしず)~厚岸間はその区間のひとつ。見どころは青々とした厚岸湾です。(減速運転は実施されないこともあります。)
厚岸駅を出発すると、花咲線で一番の絶景ポイントといってもいい、別寒辺牛(べかんべうし)湿原の中へと列車は進んでいきます。この厚岸~茶内(ちゃない)間も速度を落として運転されることのある区間です。
ラムサール条約の登録湿地として『厚岸湖・別寒辺牛湿原』が認定されたのが1993年のこと。国内有数の原生的な自然が残されている別寒辺牛湿原にはタンチョウやオジロワシ、ヒグマ、イトウなどの貴重な野生動物が生息しています。
緑と水が創り出す湿原風景はどこか非現実的。雄大な自然が魅せる幻想的なロケーションの中を列車に揺られる、とても贅沢な旅の時間です。
このエリアに限らず、花咲線沿線にはたくさんの野生動物が生息しているので、突然線路上に出てくることがままあります。そのため列車は警笛を頻繁に鳴らして動物除けを行います。車窓から景色を眺めていると、野生動物の姿をふと見つけられるかもしれません。
さらに東へと進んだ列車は根室半島の付け根から太平洋に突出する落石岬の海岸線を走り、日本最東端の駅を経て、終着の根室駅に到着します。

花咲線の特徴

花咲線を走るのは主に「キハ54形」と呼ばれるディーゼルカーで、送電線がありません。釧路から根室まで、移り変わる広大な景観と列車の間を遮るものはなく、自然に溶け込むような感覚の列車旅が堪能できます。
専用アプリをダウンロードのうえイヤホンを持参すれば「JR北海道 車窓・沿線観光ガイド」を利用できるサービスもあり、車内で自動音声の観光案内を楽しむこともできます。
ローカル線の旅の必須ともいえる注意点として、運行本数が少ないことは忘れてはいけません。さらに、花咲線は途中のほとんどが無人駅です(有人駅は釧路駅・厚岸駅・根室駅のみ)。とはいえ途中下車したくなる味わい深い駅があるのも花咲線の魅力のひとつ。旅程は帰りの時刻も含め、計画的に組むことをおすすめいたします。

茶内駅・浜中駅

茶内駅は釧路駅を出発してから1時間半弱で到着する駅です。浜中駅は茶内駅の次の駅で、その間は10分ほど。どちらも浜中町内にある無人駅ですが、駅ではとある有名な人たちが出迎えてくれます。なんとそれは「ルパン三世」のキャラクターたち。
浜中町は「ルパン三世」の生みの親、モンキー・パンチ先生の出身地。訪れる人を歓迎してくれる駅のほぼ等身大のキャラクターパネルや町内の展示施設、町にとけ込む仮想店舗などで作品世界を町ごと堪能でき、撮影スポットや「聖地」として話題になっています。
霧多布岬やアゼチの岬などの息をのむ絶景スポットあり、アウトドアあり、海産・酪農のグルメありと、豊かな自然の恩恵を享受し楽しめる町が浜中町なのです。
酪農についてさらに言うと、浜中町の牛乳は高水準な環境で生産・衛生管理されていて、あの「ハーゲンダッツアイスクリーム」の原料に使用されています。「コープはまなか」では浜中町の牛乳を使用した絶品のソフトクリームが販売されています(販売期間4月下旬~10月下旬)。「コープはまなか」へは最寄の茶内駅から徒歩5分ほどで行くことができます。
詳細はWebサイトで!

東根室駅

東の最果てを目指す列車旅において象徴的な「日本最東端の駅」へはぜひとも訪れたいところ。“東へ向かう花咲線の最東端なのだから終点の根室駅が最東端なのでは?”と思いがちですが、「日本最東端の駅」は根室駅のひとつ手前の東根室駅となっています。
これは花咲線が終点へ向かうときに西にカーブして根室市街へと入るため。このため根室駅ではなく、東根室駅が最東端の駅となるのです。
「日本最東端の駅」の碑が設置されているホームは木製で、駅舎はありません。閑寂なその雰囲気は“果てに来た”と思わせてくれる旅情にあふれています。

根室駅

「日本最東端の駅」こそ東根室駅ですが、有人駅としての日本最東端は根室駅。根室市自体が日本の最東端に位置しており、「朝日にいちばん近い街」を謳っています。
根室市は太平洋とオホーツク海に面し、豊かな水産資源によって古くから北方漁業の基地として発展してきた水産・味覚観光都市です。独特のご当地グルメ「エスカロップ」が親しまれていたり、釧路のイメージが強いサンマの水揚げ日本一なのは実は根室で、ひがし北海道の沿岸だけで獲れる希少な花咲ガニも根室を代表する味覚です。7月から漁が始まるサンマに、花咲ガニの漁期も夏〜9月頃。夏は根室の旬の味覚を楽しむのにぴったりな季節です。
花咲線の根室駅到着の時刻に合わせて駅横のバスターミナルから出ている路線バスは名所めぐりに便利です。3基のレトロなサイロがフォトジェニックな明治公園や、北海道でもっとも早い日の出スポット納沙布岬などへ訪れれば、東の最果てへの絶景列車旅はより思い出深いものとなるでしょう。
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